
毎月の電気代、何にどう使われているか全然わからない…
「毎月の電気代、なんとなく高いな…」。そう感じながらも、明細書に書かれたたくさんの数字をよく見ないまま、支払いを済ませていませんか?
実は、その明細書には、あなたが電気代を安くするためのヒントが隠されています。



電気代の仕組みを知ることは、賢く節約するための最初のステップです。
この記事では、複雑に感じる電気代の仕組みを、誰でもわかるように「4つの要素」に分解して解説します。さらに、家電の電気代がどう計算されているのか、そして太陽光発電や蓄電池があなたの家計にどう影響するのかを具体的に解き明かします。
これらを理解すれば、あなたはもう「なんとなく」電気代を払う必要はありません。自分に合った料金プランを選び、賢く電気を使うための第一歩を、今ここから踏み出しましょう。
なぜ電気代の内訳を知るべきなのか?知ると得られる3つのメリット





具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?主な3つのポイントを見ていきましょう。
電気代の「無駄」が見える
なんとなく高いと感じていた電気代も、その内訳を知ることで、どこに無駄があるのかが具体的に見えてきます。例えば、あなたのライフスタイルと料金プランを照らし合わせることで、より効率的な節約ポイントが見つかります。無駄な待機電力が多かったり、エアコンの使いすぎだったり、何に多く電気を使っているかが分かると、大きな節約につながります。
最適な電力プランを選べる
電気料金プランには、たくさんの種類があります。夜間の電気料金が安くなるプランや、日中の料金が安くなるプランなど、料金体系はさまざまです。自分の生活スタイルに合ったプランを見つけることで、契約アンペア数を変更したり、無駄な支払いを減らしたりすることができます。
太陽光や蓄電池の経済効果を正確に判断できる
太陽光発電や蓄電池の導入を検討する際、業者の説明を鵜呑みにせず、自分で経済効果を計算できるようになります。どの部分の電気代を削減できるのかを正確に理解することで、費用対効果をしっかり見極め、納得した上で導入を判断できます。
電気代を構成する4つの要素





毎月の電気代は、主に以下の4つの要素で構成されています。それぞれの役割を知ることが、電気代を理解する第一歩です。
基本料金
毎月、固定で発生する料金です。契約しているアンペア数(A)や、プランのメニューによって金額が決まっています。電気をまったく使わなくても支払う必要がある、いわば「基本使用料」のようなものです。
電力量料金
実際に使った電気の量(kWh:キロワットアワー)に応じて計算される料金です。多くのプランでは、電気を使えば使うほど単価が高くなる「3段階料金」や、時間帯によって単価が変わる「時間帯別料金」が採用されています。
3. 燃料費調整額
発電に必要な燃料(原油、石炭、LNGなど)の価格変動を電気料金に反映させるための費用です。燃料価格が高騰すれば料金に加算され、安くなれば減算されます。毎月変動するため、電気料金を大きく左右する要因となります。
【主要な電力会社の燃料費調整額ページ】
ご契約の電力会社の最新情報は、以下の表からご確認ください。
4. 再生可能エネルギー発電促進賦課金(さいエネふかきん)
再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の普及を支えるために、電気使用量に応じて全国一律で徴収される費用です。国が定めた金額のため、どの電力会社を選んでも単価は変わりません。
2025年度の単価は1kWhあたり3.98円です。最新の情報は、経済産業省のウェブサイトでご確認ください。
「家電の電気代」はどの項目を元に算出されている?



この家電、1日たった〇〇円だって!めっちゃ安くない!?
家電のカタログやウェブサイトで、「1日あたりの電気代は〇〇円」といった表示を見たことがあると思います。そのとき、思わず「意外と安いかも?」と感じた方も多いのではないでしょうか?この金額は、先ほど解説した「電力量料金」を元に計算されています。
計算の仕組み


家電の電気代は、以下の手順で算出されます。
- 消費電力(W)の確認
まず、製品の仕様書に記載されている消費電力(W)を調べます。これは、その家電が動くために必要な電気の力です。 - 使用電力量(kWh)への変換
1日の使用時間などから、実際に使った電気の量である「使用電力量(kWh)」を計算します。 - 電力量料金単価をかける
計算した使用電力量に、電力会社が定める「電力量料金単価(円/kWh)」をかけます。
- 消費電力:700Wの家電を1日8時間使った場合
- 使用電力量:700W × 8時間 = 5,600Wh = 5.6kWh(※1,000W = 1kW)
- 電気代:5.6kWh × 料金単価27円 = 151.2円
注意事項


家電のカタログやウェブサイトで電気代の目安を見ると、「意外と安いかも?」と感じたことはありませんか?実はこれ、少ししたひっかけ問題です。
家電の電気代は、あくまで「電力量料金」のみを考慮した目安で算出されています。そのため、あなたの契約しているプランや、燃料費調整額、再エネ賦課金は含まれていません。実際の支払額とは異なることを理解しておきましょう。
より現実に即した金額を求めたい場合は、以下の計算例のように、使用電力量に「再エネ賦課金」を足してみましょう。
- 消費電力:700Wの家電を1日8時間使った場合
- 使用電力量:5.6kWh
- 電気代:
- 電力量料金: 5.6kWh × 料金単価27円 = 151.2円
- 再エネ賦課金: 5.6kWh × 再エネ賦課金単価3.98円 = 22.288円
- 合計: 151.2円 + 22.288円 = 173.488円
電気代の正確な計算式





なんだか難しそうに見えますが、大丈夫です。明細書と電卓があれば、誰でも計算できますよ!
基本料金+(電力量料金単価×使用電力量)+(再エネ賦課金単価×使用電力量)±(燃料費調整単価×使用電力量)
計算例:1ヶ月の電気代を計算してみよう!
ここでは、東京電力の「従量電灯B」プランを例に、1ヶ月の電気代を計算してみましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
契約プラン | スタンダードS |
契約アンペア | 30A |
基本料金(30A) | 935円 |
使用電力量 | 300kWh |
電力量料金単価: 従量電灯B | 120kWhまで:29.80円 |
120kWh超過~300kWhまで:36.40円 | |
300kWh超過:40.49円 | |
再エネ賦課金単価 | 3.98円 |
燃料費調整単価 | -6.88円 |
計算の内訳
項目 | 金額 |
---|---|
基本料金 | 935円 |
電力量料金 | 120kWh × 29.80円 = 3,576円 |
81(201 – 120)kWh × 36.40円 = 2,948.4円 | |
燃料費調整額 | 201kWh × (-6.88円) = -1,382.88円 |
再エネ賦課金 | 201kWh × 3.98円 = 799円 |
合計 | 6875円 |
太陽光発電・蓄電池と電気代の関係



電気代の計算式を理解すると、太陽光発電や蓄電池がなぜ節約に繋がるのか、その理由がより明確になりますよ!
太陽光発電が電気代を安くする仕組み


太陽光発電は、昼間に電気を作り出します。太陽光発電で作られた電気は、まず家の中で優先的に消費されます。これにより、電力会社から買う電気の量を減らすことができます(余った電気は基本的に売電され、蓄電池があれば貯めることができます)。
結果として、以下の3つの料金を大幅に削減できます。
- 電力量料金
昼間に発電した電気を自宅で使うことで、料金単価が高い部分の使用量を直接減らします。 - 燃料費調整額
電力会社から買う電気が減ることで、その量に連動してかかる燃料費調整額も自動的に少なくなります。 - 再エネ賦課金
同様に、電力会社から買う電気が減ることで、使用量に応じてかかる再エネ賦課金の負担も軽減できます。
蓄電池が電気代を安くする仕組み


蓄電池は、電気料金が安い夜間に電気を溜め、料金が高い日中にその電気を使います。この「ピークシフト」と呼ばれる使い方で、さらに効率的に電気代を削減できます。
- 電力量料金
夜間の安い電気で充電した分を日中に使うことで、高価な昼間の電気を避けることができます。 - 太陽光発電との組み合わせ
太陽光発電で作った無料の電気を蓄電池に溜めておけば、日差しがない夜間や早朝にも、自家製の電気を使えるようになります。これにより、電気を電力会社から買うことなく、さらに電気代を節約できます。
まとめ
この記事を通して、複雑に感じていた電気料金の仕組みが少しでもクリアになったのではないでしょうか。
明細書に書かれた数字を理解することは、単に「なんとなく高い」という漠然とした不安を解消するだけでなく、今後の賢い節約や、太陽光発電・蓄電池の導入を検討する上で不可欠な第一歩です。
特に、ご自身の明細書を前に、この記事で解説した「4つの要素」を一つひとつ確認してみてください。
電気代の仕組みを理解すれば、あなたはもう電力会社や業者任せにすることはありません。今日から、電気代を自分でコントロールし、後悔のない選択ができるようになるでしょう。
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