エネラボ所長『売電単価が7円に下がるって本当?』『このまま何もせずにいると損なの?』卒FIT後の不安は、これで解決できます。
10年間の固定価格買取制度(FIT制度)が満了する「卒FIT」を迎える皆様へ。
かつて1kWhあたり40円台だった売電単価は、卒FIT後には約7〜8円へと大幅に下落します。「このまま売電を続けても損なのでは?」と不安に感じている方も多いはずです。
もちろん、太陽光発電を設置しているだけでも、日中帯の電気代は設置していない場合より確実に削減されています。しかし、売電単価が激減するこのタイミングで、何も対策をしないのは非常に「もったいない」選択肢です。
この記事では、FIT終了後にあなたが取るべき3つの主要な選択肢を、最新の電気代高騰状況も踏まえて徹底比較します。あなたの家庭のライフスタイルに合った最もお得な道筋を見つけましょう。
卒FITとは?なぜ対策が必要なのか



FIT期間中は『売る』だけで得しました。しかし、卒FIT後は、『買わずに済ませる』戦略に切り替えなければ、家計は損をしてしまいます。
「卒FIT」という言葉を聞き慣れない方もいるかもしれませんが、これは太陽光発電を設置した方全員が迎える、家計見直しの最重要イベントです。この節目を理解することが、固定費削減の成功に直結します。
卒FITが意味するもの:売電単価の劇的な下落


卒FITとは、太陽光発電で発電した電気を、国が定めた固定価格(高額)で電力会社が買い取るFIT制度の期間(原則10年間)が満了することを指します。
FIT制度が終了すると、売電単価は国が定めた価格ではなくなり、その後の買取価格は電力会社が自由に設定できます。
- FIT中(10年間)の買取単価の例
1kWhあたり35円〜48円(導入時期による・現在はもっと低い) - 卒FIT後の買取単価の相場
1kWhあたり7円〜10円程度
これまでの高額な売電収入が、一夜にして約5分の1に激減するため、対策が必須となるのです。
何もしないのが一番損な理由


FIT終了後、特に手続きをしないままでいると、多くの場合、現在の電力会社の自動継続プランに移行します。このプランの買取単価は市場相場(7円〜8円程度)であることが多いため、大幅に収入が減少します。
しかし、現在電力会社から電気を買う単価(買電単価)は、燃料費調整額の高騰もあり、1kWhあたり30円前後と非常に高くなっています。
- 売電単価(収入): 約8円/kWh
- 買電単価(支出): 約30円/kWh
買電 > 売電
8円で売って、30円で買い戻すという構造になるため、売電を続けるよりも自宅で電気を使う(自家消費)ほうが圧倒的に経済的メリットが高くなります。
卒FIT後の主要な3つの選択肢を徹底比較



どの選択肢を選ぶべきか迷う必要はありません。判断基準はたった一つ、『ご家庭の昼間の電気使用量』です。ライフスタイルが変われば、最もお得な選択も変わります。
選択肢の比較表をご覧いただき、それぞれのメリット・デメリットは理解できたかと思います。しかし、ご自身の家庭にとって「最もお得な選択」がどれなのかは、もう少し掘り下げる必要があります。次の章では、あなたのライフスタイルと電気使用量に合わせて、最適な選択肢をズバリ診断します。
選択肢①:新しい会社と契約し売電を続ける


- メリット
既存の設備がそのまま使える。手続きが簡単。大手より高い買取単価の会社を見つけられる可能性がある。 - デメリット
買取単価が安いため、電気代削減効果は低い。収益はFIT時代より大幅に減る。 - こんな家庭におすすめ
昼間の電気使用量が極めて少ない家庭。蓄電池の初期投資を避けたい家庭。
選択肢②:設備投資せず昼間の自家消費を増やす


- メリット
初期費用ゼロ。最も手軽な節約方法。高騰した買電単価(30円)を避ける効果が高い。 - デメリット
夜間や雨の日は電力会社から電気を買う必要がある。余剰電力は売電となる。 - こんな家庭におすすめ
在宅時間が長い(主婦、在宅勤務など)家庭。
選択肢③:蓄電池を導入し自家消費を最大化


- メリット
最も高い経済効果。夜間や災害時も太陽光電気を使用可能。買電量が激減する。 - デメリット
初期費用(100万〜200万円程度)がかかる。設置場所の確保が必要。 - こんな家庭におすすめ
電気使用量が多い家庭。災害対策を重視する家庭。
選択肢④:おひさまエコキュートの導入(自家消費強化)


- メリット
太陽光の発電ピークと連動して湯沸かしを行うため、自家消費率を大きく向上できる。昼間の高騰した買電を確実に回避できる。 - デメリット
機器の導入費用がかかる。既に古いエコキュートを使用している場合は入れ替え時期の検討が必要。 - こんな家庭におすすめ
昼間に余剰電力が多く発生している家庭。給湯代も含めたトータルの光熱費削減を目指す家庭。
3. 最もお得な選択肢はどれ?【ライフスタイル別診断】



診断結果はいかがでしたか?重要なのは、『買電単価30円』と『売電単価8円』の差額を、どれだけ効率よく自家消費に変えられるか、です。
これで、ご自身の家庭に最適な選択肢がおおよそ見えてきたはずです。しかし、最終的な決断をする前に、なぜこの選択があなたの家計にとって最も合理的であるのかを、損益の観点から今一度整理しておきましょう。
ケースA:昼間はほとんど家にいない家庭(共働きなど)


- 最適解:新しい会社と契約して売電
- 昼間、せっかく発電しても誰も使わないため、余剰電力をより高い単価で買い取ってくれる新電力を探すのが得策です。
- ただし、売電収入自体は期待せず、次の蓄電池導入までのつなぎと考えるのが現実的です。
ケースB:昼間在宅している家庭(専業主婦、在宅勤務など)


- 最適解:設備投資せず昼間の自家消費を増やす
- 日中に洗濯機や食洗機、IHクッキングヒーターなどの電力を消費することで、30円/kWh近い買電を直接カットできます。
- 初期投資なしで即座に節約効果が出るため、まずはここから始めるべきです。
ケースC:電気使用量が多く、夜間も電気を使う家庭


- 最適解:③ 蓄電池を導入して自家消費を最大化
- 昼間に余った電気を蓄電池に貯め、電気代が最も高い夜間(22時〜翌朝8時など)に使うことで、電気代の請求額をほぼゼロに近づけられます。
- 初期投資はかかりますが、電気代高騰のリスクから完全に解放され、災害時の安心も得られます。
まとめ:卒FITは「買電コストを減らすチャンス」
卒FIT後の対策は、売電収入の減少を嘆くのではなく、「高騰した電気代を買わずに済む」チャンスと捉え直すことが成功の鍵です。
ご家庭のライフスタイルを分析し、自家消費率を最大化する道を選びましょう。
- まずは
現在の電力会社から届くFIT期間満了の通知を確認し、卒FITの時期を把握しましょう。 - 次に
ご自身の昼間の在宅状況と電気使用量を照らし合わせ、最適な選択肢を見極めてください。
最も賢い選択は、蓄電池の導入で自家消費を最大化し、電気代高騰リスクから解放されることです。導入費用について不安があれば、まずは信頼できる専門業者に見積もりを依頼することから始めてみましょう。


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